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腰痛をやわらげるために、家で簡単にできる体操はありますでしょうか?

35歳女性 自営業の方からの質問です。
【質問】
腰痛があるので治療院に行きたいのですが、行く時間がなかなか作れない状況です。
そういう状況の場合に、腰痛をやわらげるために、家で簡単にできる体操はありますでしょうか?
体操があれば、その方法を教えていただきたいと思います。
回答
ご質問ありがとうございます。
腰痛の体操の有名なものは、いくつかございます。
2つ程ご紹介いたしますが、それぞれ適応がありますので注意が必要となります。
代表的な腰痛体操にはマッケンジー腰痛体操、ウィリアムス腰痛体操の2つがありますが…。
椎間板ヘルニアの方がウィリアムス腰痛体操の基本運動パターンを行ったり、椎間関節性腰痛の方がマッケンジー腰痛体操の基本運動パターンを継続的に行っていくと、腰痛症状はただただ悪化の一途となります。
それは、それぞれの腰痛体操の基本運動パターンが全く逆の運動パターンで構成されているためです。
・マッケンジー腰痛体操
マッケンジー腰痛体操は1方向性の運動パターンのみで構成されている訳ではありませんが、インターネット上で紹介されている運動パターンはマッケンジー腰痛体操の基本運動パターンが紹介されていることが多く、これはうつぶせの姿勢から上体を持ち上げ背中を反っていく方法です。
この腰痛体操は椎間板ヘルニアや、腰の湾曲が浅い所謂平背の方に向く運動療法です。
マッケンジー法では座位姿勢が長く前傾姿勢をとる頻度が高いほど腰を反らせる制限をきたしやすくなり、その事で靭帯や筋肉、関節を包む関節包の変性を起こし、腰痛発症につながると捉えています。
1956年、ニュージーランドの理学療法士ロビン・マッケンジー氏が偶然の発見から腰痛体操のメソッドにまで発展させた手法です。
当初は腰を反らせる運動パターンで構成されていましたが、変遷を経て現在では背中を丸める屈曲運動パターンや、側彎を改善するための運動パターンも存在します。
日本ではマッケンジー協会というものが存在し、こちらでの講習会に参加し資格を得た医療者が指導するという指針が示されています。
このように本来は理学療法士などの指導のもと行う運動療法です。
・ウィリアムス腰痛体操
ウィリアムス腰痛体操はマッケンジー腰痛体操の基本運動パターンの逆の考え方で成り立っています。
そのため、椎間板ヘルニアの方がウィリアムス腰痛体操の基本運動パターンを継続すると症状の悪化をみます。
この腰痛体操で改善が見込まれるのは椎間関節性腰痛の方などです。
ウィリアムス法では背骨と背骨の関節である椎間関節を開大し、神経の根元の圧迫を減少させる事を目的としています。
基本運動パターンは膝を抱え込むようにして背中を丸め、腰の前方への湾曲を浅くするための腰痛体操です。
上記の運動パターンに加え、腹筋とお尻の大殿筋の筋力トレーニング。太もも裏面の筋群、ふくらはぎの筋群のストレッチングが加わります。
腰痛なのに腹筋と大殿筋の筋力トレーニングは意外に思われるかもしれませんが、腹筋とお尻の大殿筋の筋力が低下すると骨盤が前方に倒れ込む現象が起こり、結果として背骨の腰の湾曲が強くなってしまうためです。
以上のような理由でウィリアムス腰痛体操では腰の前方への湾曲を減少させ、背骨を丸める方向への運動を基本原理としています。
代表的な腰痛体操の基本的構成を述べましたが、文中で説明したように腰痛のタイプによっては、腰痛体操を行うことが症状を悪化させかねない恐れがあります。
これらの腰痛体操は【特異的腰痛体操】と呼ばれ、特定の腰のタイプ、特定の腰痛疾患に合わせて処方される運動療法です。
インターネット上には、腰痛のセルフケア法として腰痛体操方法の情報が溢れていますが、あなた自身が腰の状態や腰痛が起こっている原因を把握していないのならば、闇雲に腰痛体操を取り入れることはリスクを伴います。
リスクを伴う腰痛体操を行うならば、スイミングをお勧めします。
ただ、あなたの腰の状態が分からない上でのお勧めですから、平泳ぎとバタフライはお勧めできません。(腰の前後の動きが大きいため。)
腰痛をお持ちの方にとってリスクの少ない泳ぎ方は、クロールと背泳ぎです。
長文になってしまいましたが、腰痛にはいろいろな種類のものがあります。
なかなかお時間が取れないとは思いますが、一度専門家に確認してもらうことをおすすめします。
新宿・東新宿のお近くでしたら、遠慮なく当院にご連絡ください。
土曜、日曜もご相談いただけます。